就労継続支援A型の平均給料はいくら?相場や手取り額の目安を解説
就労継続支援A型とは何か?

まずは基本となる就労継続支援A型について押さえておきましょう。
ここでは、A型の仕組みや他制度との違いについて順を追って解説します。
雇用契約と就労機会の提供
就労継続支援A型では、利用者と事業所が正式に雇用契約を結ぶことが大きな特徴です。
これは一般的なアルバイトやパートと同じように、労働基準法が適用されるため、最低賃金が保証される点が安心材料となります。
また、A型事業所は障がいや体調に配慮しながら、個々に合った就労機会を提供してくれるため、無理なく働き続けやすい環境です。
仕事の内容も軽作業や事務、清掃など多岐にわたるので、自分に合った仕事を無理なく選択することもできます。
このように、A型は安定した雇用と幅広い就労機会が整っている点が大きな魅力です。
B型との違い
就労継続支援A型とB型の最大の違いは、「雇用契約の有無」と「給料の支払い方法」にあります。
A型では事業所と雇用契約を結び、最低賃金以上の給料をもらうことが法律で決められています。
一方、B型は雇用契約がなく、給料ではなく作業分のお金(工賃)が支給されるため体調や生活リズムに合わせて無理なく働ける点が魅力です。
収入の面では、B型の工賃は全国平均で月額1万6千円ほどで、A型の給料は全国平均で月8万~10万円程度と大きな差があります。
A型は安定収入と雇用契約、B型は柔軟な働き方と工賃という明確な違いがあります。
関連記事:就労継続支援B型とは?制度の概要・メリット、事業所の選び方まで徹底解説
就労移行支援との比較
就労継続支援A型と就労移行支援は、目的や仕組みには大きな違いがあります。
A型は雇用契約を結び安定した給料が得られるのに対し、就労移行支援は一般企業への就職を目指すための訓練期間であり、給料は発生しません。
A型では「働きながら収入を得たい」と考える方に向いていますが、就労移行支援は「将来的に一般就労を目指したい」といった方に適しています。
就労移行支援では、職業訓練や就職活動のサポートを受けられる一方で、生活費には障がい年金や各種手当を活用する必要があります。
A型は安定収入、移行支援は就職準備という違いが明確です。
就労継続支援A型の給料の現状
就労継続支援A型事業所で働く場合、給料は最低賃金が適用されるため時給制で支払われます。
では、「実際にどれくらいもらえるのか?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここからは就労継続支援A型の全国的な平均給料と手取り額の目安について解説していきます。
全国平均給料と地域差
就労継続支援A型事業所で受け取る給料の全国平均は、2023年時点で月額約7万円前後とされています。
平均額は地域によって大きく異なり、都市部では8万円を超える事業所もありますが、地方では5万円台にとどまる場合もあります。
なぜ地域差が生じるかというと、最低賃金の違いや事業所ごとの仕事内容、働く時間数が影響しているためです。
最低賃金は東京都が1,072円(2023年10月時点)の一方で地方では900円台前半の地域もあります。
したがって、同じ時間働いても給料に差が出るのです。
手取り額の目安
就労継続支援A型事業所での給料は平均7万円前後とされますが、社会保険料や税金が差し引かれるため、実際の手元に残る金額はさらに減ります。
最低賃金が高い東京都では比較的収入が多く見込めますが、地方では900円台が多く、勤務日数や時間が短ければ収入は少なくなります。
さらに、住民税や保険料の有無によっても変動します。
したがって、事前に手取りを試算し、事業所に確認することが安心につながります。
給料だけで生活できる?支援制度の活用

就労継続支援A型で働く場合に、「給料だけで生活できるのか?」という不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際にA型事業所の平均的な給料は月7万円前後というデータがあり、家賃や生活費をまかなうには大きな余力があるとは言えません。
加えて、体調や通院による勤務時間の短縮も収入に影響します。
生活に必要な費用を賄うには、他の公的支援制度の利用を検討しましょう。
たとえば、障がい年金や生活保護、自立支援医療制度などの公的支援を活用することで、生活の安定を図る方が多く見られます。
障がい年金との併用
障がい年金と就労継続支援A型の給料は併用が可能です。
障がい年金が「障がいのある方の生活を支えるための公的な収入」であり、A型事業所で働いて得られる給料とは性質が異なるためです。
ただし、所得制限があり、高い収入があると年金の支給額が減額されたり、受給資格がなくなったりする場合もあるため注意が必要です。
実際には、A型の平均的な給料の月7万円前後であれば、障がい年金2級で月約6万円~8万円と合わせて受給できる場合もあります。
このように、障がい年金とA型の給料を組み合わせることで、より安定した生活を目指すことが可能です。
生活保護の利用
生活保護は、就労継続支援A型の給料だけでは生活が難しい場合に活用できる公的な支援制度です。
A型事業所で働いている方でも、収入が最低生活費に満たなければ生活保護を受けられる可能性があります。
生活保護を申請する際は、現在の収入や家族構成、持ち家や貯金などの資産状況が審査の対象となります。
給料が少なく生活が困難な場合は、まず市区町村の福祉事務所に相談してみましょう。
生活保護を利用することで、家賃や医療費の一部も支援されるため、経済的な不安を大きく減らすことができます。
給料を増やすための方法
就労継続支援A型で給料を増やしたいと考える方は多いでしょう。
A型事業所の給料は最低賃金が保証されるものの、十分な収入を得るには工夫が必要です。
たとえば、資格取得によるスキルアップや労働時間の調整、転職などの方法があります。
以下で具体的な方法を詳しく解説していきます。
資格取得でスキルアップ
資格を取得してスキルを高めることで、A型事業所内でより責任ある仕事を任される可能性が高まり、時給や待遇改善につながることがあります。
パソコンや事務、清掃や調理といった資格は特に役立ちやすく、将来の一般就労を目指す際にも強みになります。
学習費用や講座受講を支援する事業所もあるため、積極的に活用するのも1つの手段となるでしょう。
自分に合った資格を選び、少しずつ取り組むことが給料アップと自信につながります。
労働時間の調整
労働時間を増やすことは、給料を上げる最も直接的な方法です。
A型は時給制のため、働く時間が長ければその分収入も増えます。
ただし、体調面に不安がある方も少なくないため、支援員や医師と相談しながら無理のない範囲で少しずつ勤務時間を延ばすことが大切です。
急に増やすのではなく段階的に調整すれば、負担を抑えつつ収入を伸ばせます。
事業所によっては柔軟なシフト調整が可能なため、自分の生活リズムに合わせて少しずつ調整していくと安心です。
給料が高い事業所への転職
給料が高いA型事業所へ転職するのも収入改善の一つの手段です。
最低賃金が高い都市部の事業所では地方よりも収入が見込めますが、職場環境や支援体制もよく確認することが重要です。
「今の給料では生活が厳しい」と感じる方も、転職によって状況が好転する場合があります。
ハローワークや福祉窓口を活用すれば、自分に合った求人を探しやすいでしょう。
転職は収入増加だけでなく、将来の自立を後押しする大きな一歩になる可能性があります。
就労継続支援a型の利用者はどんな人

就労継続支援A型は、誰でも利用できるわけではありません。
では、実際にどのような人が就労継続支援A型を利用できるのでしょうか?
ここでは、就労継続支援A型の利用条件や対象となる人の特徴について、わかりやすく解説します。
利用を検討している方やご家族の方は、ぜひ参考にしてください。
障がいがある人のためのサービス
就労継続支援A型は、障がいのある方を対象とした福祉サービスです。
そのため、利用できるのは何らかの障がいや難病を抱えている人に限られ、対象となる障がいの種類は、次のとおりです。
精神障がい(うつ病・適応障がい・統合失調症・不安障がい・パニック障がい・てんかん・高次脳機能障がい など)
発達障がい(ADHD・自閉スペクトラム症・アスペルガー症候群・学習障がい・吃音症 など)
知的障がい
身体障がい
難病
また、医師の診断書があれば障がい者手帳を持っていなくても利用できる場合があります。
手帳がなくても、自治体に申請して認められれば、就労継続支援A型を利用することが可能です。
支援があれば雇用契約をして働ける人
就労継続支援A型を利用するには、実際に働くことができる人であることが大切です。
そのため、利用には次のような条件を満たすことが原則とされています。
過去に働いた経験があるが、現在は就労していない人
就労移行支援サービスを利用して就職活動を行ったが、一般企業への採用に至らなかった人
特別支援学校を卒業後、就職活動を行ったものの、一般企業などに採用されなかった人
ただし、あくまでも一般的な基準であり、自治体によって利用条件が異なる場合があります。
利用を希望する場合は、お住まいの自治体や支援機関に確認することが大切です。
年齢や利用期間の制限はあるの?
就労継続支援A型には、利用できる年齢の目安が設けられています。
原則として、18歳以上65歳未満の方が対象です。
ただし、65歳の誕生日を迎える前日までに就労継続支援A型の正式な利用者となっていれば、65歳を過ぎても継続して利用することが可能です。
年齢によって急に利用できなくなることはありませんので、安心して働き続けられます。
また、就労継続支援A型の雇用契約には特別な期間の制限はありません。
同じ事業所で長く働き続けることもできますし、スキルを身につけて一般企業へ就職する道も選べます。
就労継続支援a型の仕事はどんな内容?
仕事の内容は事業所によってさまざまです。
企業などからの仕事を受注している作業所もあれば、作業所独自で事業を行っているところもあります。
以下は代表的な作業の例になります。
パソコンを使ったアンケートの集計やデータ入力
梱包作業
食品雑貨などのものづくり
倉庫での軽作業やピッキング
以前は物を作る作業が中心でしたが、パソコン関連の作業など仕事内容の幅も広がりつつあります。
労働日数と労働時間は?
就労継続支援A型の1日の労働時間は事業所や利用者の状況によって異なりますが、一般的には1日4時間〜6時間程度が目安となっています。
多くの方が週20時間以上働いており、特に1日4時間勤務の方が最も多い傾向です。
中には、1日8時間のフルタイム勤務に対応している事業所もありますが、実際には少数派です。
また、残業がほとんどないため、基本的に定時で帰宅できる働きやすい環境が整っています。
就労継続支援A型と他の支援の選択肢

給料や働き方を考える際には、他の福祉的就労支援との違いも理解することが大切です。
A型は雇用契約に基づき最低賃金が保証されますが、就労移行支援やB型は目的や仕組みが異なります。
それぞれの特徴を知ることで、自分に合った支援を選びやすくなります。
就労移行支援の利用を考える
就労移行支援は「一般企業で働きたい」と考えている方や、より高い給料を目指す方に向いている支援制度です。
就労移行支援では、最長2年間の訓練期間中に職業訓練やビジネスマナー、応募書類の書き方、面接対策など幅広いサポートが受けられます。
A型のような雇用契約はありませんが、実際に働く前に自信をつけたい方や、一般企業への就職に不安がある方にとっては大きな後押しとなるでしょう。
業務に不安がある場合でも個別のサポートがあるため、安心して挑戦できます。
就労移行支援は、給料を得ることよりも将来的な安定就職を目指す方におすすめです。
一般企業へのステップとして
就労継続支援A型は、一般企業への就職を目指すための大切なステップとなります。
一般企業で働くには、安定した出勤や職場でのコミュニケーション、仕事をやり遂げる力が求められます。
「自分にできるだろうか…」と不安に感じる方もいるでしょう。
A型での経験は、仕事の基礎や社会で必要なマナーを身につける場として最適です。
さらに、事業所のスタッフが日々の業務や悩みをサポートしてくれるため、安心して挑戦できます。
このように、就労継続支援A型は一般企業への就職準備として非常に有効な選択肢です。
就労継続支援a型の給料と手取りを知って安心を
就労継続支援A型は、雇用契約に基づき最低賃金が保証される安心感がある一方、全国平均の給料は月7〜8万円程度と十分とは言えません。
生活を安定させるには、障がい年金や生活保護、自立支援医療制度など公的支援の併用が欠かせないのが現実です。
収入を増やす方法としては、資格取得や労働時間の見直し、給与水準の高い事業所への転職などが挙げられます。
自分の体調や生活に合った選択をし、無理なく安定した働き方を目指しましょう。
株式会社SANPOでは、愛知県西尾市の就労継続支援A型・B型多機能型事務所SANPOを運営し、利用される方が安心して働ける環境を整えています。作業内容や働き方についても一人ひとりに合わせた支援を行い、長く続けられる就労をサポートしています。
サービスの詳細やご相談などがございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
監修者

小林 啓輔
株式会社SANPO 顧問
<資格>
・サービス管理責任者研修修了
・社会福祉主事
<略歴>
福祉系大学卒業後、在宅介護支援センター(現包括支援センター)等の相談員業務に従事し、特別養護老人ホームの指定申請や人事関係に関与。その後有料老人ホームの施設長など高齢者福祉に携わり、その後サービス管理責任者として就労継続支援事業所やグループホームに従事。
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