就労継続支援B型事業所を利用するための条件は?
就労継続支援B型事業所の利用を検討している方や、障がいのある家族のために情報を探している方は多いのではないでしょうか。就労継続支援B型は障がいや難病のある方が自分のペースで働き、社会参加できる大切な場所です。しかし「どのような条件が必要か」「手続きはどうすればよいのか」といった疑問を持つ方も少なくありません。
本記事では、就労継続支援B型の利用条件や対象となる障がいの種類、必要な手続きや費用、事業所選びのポイントを解説します。あなたやご家族に合った就労継続支援B型事業所を見つける参考にしてください。
就労継続支援B型事業所の利用条件
B型事業所を利用するには、身体障がい・知的障がい・精神障がい・発達障がい・難病のある方で、以下の条件のいずれかに当てはまる必要があります。
就労経験があるが年齢や体力面で一般企業の雇用が困難
50歳以上の方
障がい基礎年金1級受給者
就労移行支援事業者によるアセスメントでB型の利用が適当と判断された
利用期間は受給者証に記された期限を更新する形で継続でき、利用料金は世帯の課税状況によって異なります。これらの条件を満たせば、個々の状況にあわせて無理なく就労訓練を行い、将来的な就職や社会参加を目指せる点が特徴です。
2025年10月からは「就労選択支援」という新たな制度が導入され、必要なアセスメントを経てB型事業所の利用が決まる流れへと変わる予定です。
就労継続支援B型事業所を利用できる方の特徴
就労継続支援B型事業所は、障がいや難病のある方が自分に合ったペースで働きながら社会参加できる福祉サービスです。ここでは、以下5つを解説します。
身体障がい
精神障がい
知的障がい
発達障がい
難病
それぞれ見ていきましょう。
身体障がい
身体障がいがある方の中には、事故や病気による後遺症で身体機能が制限されている場合や、先天的な障がいで長らく治療・リハビリを続けている方も含まれます。就労継続支援B型では、個々の身体状況に応じて業務内容や作業環境の調整が行われるため、無理なく取り組める点が特長です。
たとえば、重い荷物を持てない方には軽作業を中心に配置し、車椅子での移動が必要な方には通路や机の高さを工夫するなど、柔軟な配慮がなされます。こうしたサポート体制によって体力的負担を減らしつつ、作業の達成感や社会参加の意欲を高められるのが大きなメリットです。
精神障がい
統合失調症やうつ病・適応障がいなどの精神障がいを抱えている方は、症状の波や集中力の変動が大きく、一般企業での勤務継続に不安を抱くケースが少なくありません。就労継続支援B型では、作業量や勤務時間などを柔軟に調整できるため、体調にあわせて働きやすい環境が整えられています。
専門スタッフがこまめに状態を確認し、必要に応じて面談やアドバイスを行うことで、メンタル面のサポートを受けながら作業を進められるのも特長です。焦らず自分のペースで社会とのつながりを持てるため、将来的な就労継続や自立に向けたステップを踏み出しやすくなります。
知的障がい
知的障がいのある方は、文字や数の理解が難しい場合や、抽象的な指示に戸惑いやすい傾向があります。就労継続支援B型では、そうした特性に配慮したサポートを行い、作業手順のマニュアル化や分かりやすい指示方法を工夫しています。
たとえば、写真入りの手順書や色分けを活用して「何をどうするか」を明確にし、本人が戸惑わずに作業できるように設計されているのが一般的です。スタッフが進捗を随時確認し、困り事があれば声をかけやすい雰囲気を整えることで、利用者が自信を持って仕事に取り組める環境が築かれています。
発達障がい
自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)、学習障がい(LD)など、特性が多岐にわたります。コミュニケーションの取り方や集中力の維持に課題がある場合でも、B型では本人の特性を理解し、得意分野を生かしながら働ける場を用意しています。
具体的には、あいまいな指示を避けて明確な工程表を作ったり、一定時間ごとに休憩を入れて集中力を保ちやすくしたりといった支援です。こうしたきめ細かなフォローにより、自分の強みを生かした作業に打ち込みながら、苦手な部分を少しずつ改善していけるのが大きな利点です。
難病
パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症(ALS)など難病を持つ方は、進行具合によって体調が変化しやすく、一般企業での長時間労働が負担となるケースがあります。就労継続支援B型では、利用者が体調不良を感じた際に休憩を取りやすくし、短い時間から作業を始められるなどの柔軟な対応を行っています。
また、医療機関や地域の支援機関と連携しながら、病状の変化にあわせて業務内容を調整できるのも特長です。これにより、病気による身体機能の制限と仕事の両立を目指し、無理なく社会参加を続けられる環境が整えられています。
就労継続支援B型事業所での仕事内容
就労継続支援B型事業所では、利用者の障がい特性や体調にあわせた作業が用意されており、個々のペースで取り組めるのが特長です。商品の袋詰めやシール貼りなどの軽作業、農作業や清掃業務、手工芸品の制作といった内容が代表例としてあげられます。
作業時間や休憩の頻度も柔軟に調整できるため、体力や集中力に不安がある方でも安心して働けます。また、スタッフが手順を分かりやすく示してくれるほか、困ったときにすぐ相談できる体制が整っているため、初めて作業に取り組む方でも負担を感じにくいでしょう。
給料の目安
就労継続支援B型で支給される給料(工賃)は、事業所ごとにかなり差があるのが実情です。令和5年度平均工賃では2万3,053円となっていますが、取り扱う作業内容や事業所の売上状況、稼働日数によって変動します。
たとえば、受注生産や地域資源を活用した商品製作などで利益を得やすい事業所は、工賃を比較的高めに設定していることがあります。一方、リハビリや作業訓練が中心の事業所では、給料よりも身体面・精神面のサポートを重視しているケースも少なくありません。利用を検討する際には、自分の就労目的や生活スタイルに合う事業所を見学し、給料や働き方を事前に確認しておくと安心です。
就労継続支援B型事業所を利用する際にはいくらかかるのか
基本的に利用料金は厚生労働省によって定められており、世帯の収入状況に応じて月々の負担上限額が設定されています。重要なのは、利用料金の9割は自治体が負担する仕組みになっていることです。残りの1割を利用者が負担しますが、この自己負担部分も世帯の収入状況によっては免除される場合があります。
また、利用日数や利用時間にかかわらず、月額の上限を超えて支払う必要はありません。経済的な理由でサービス利用を諦めることなく、まずは市区町村の窓口に相談してみることをおすすめします。
利用料金の仕組み
就労継続支援B型事業所の利用料金は、世帯の収入状況によって月ごとの負担上限額が決まります。詳細を以下にまとめました。
区分 |
世帯の収入状況 |
負担上限月額 |
生活保護 |
生活保護受給世帯 |
0円 |
低所得 |
市町村民税非課税世帯 |
0円 |
一般1 |
市町村民税課税世帯(所得割16万円未満) |
9,300円 |
一般2 |
上記以外 |
3万7,200円 |
自治体によって細かい条件が異なることもありますので、正確な金額については必ずお住まいの市区町村の障がい福祉窓口で確認しましょう。
利用料以外にも必要?就労継続支援B型事業所を利用する際にかかる費用
B型事業所の利用にあたっては、利用料金のほかに交通費や昼食代などの実費が必要となる場合があります。自己負担を減らすために、国や自治体が行っている助成金や減税制度を活用できる可能性があります。さらに、自治体の中には交通費や食事代の一部を補助する制度を設けている場合も。
こうした取り組みを上手に利用すれば、経済的負担を抑えながら必要なサポートを得ることが可能です。自分の条件に合う支援策を見つけるには、市区町村の障がい福祉課や社会福祉協議会などに相談しましょう。
就労継続支援B型事業所を利用するためには障害者手帳は必須?
障害者手帳を持っていなくても、就労継続支援B型事業所を利用することは可能です。「障がい者福祉サービス受給者証」を取得することで、障害者手帳なしでも各種サービスを受けられます。この受給者証は、医師の診断書などをもとに障がい特性や支援の必要性を自治体が判断し、交付する仕組みです。
取得のためには、自分の障がいや病気の状態を正確に伝えることが大切で、発達障がいや難病など手帳取得が難しいケースでも適用される場合があります。まずは自治体の担当窓口に相談し、自分の状況に合った手続き方法を確認してみましょう。
障がい者福祉サービス受給者の基本情報
障がいのある方が各種支援を円滑に受けられるよう、市区町村が発行する証明書です。この証は就労継続支援B型に限らず、ホームヘルプやデイサービスといったほかの障がい福祉サービスを利用する際にも必要となる場合があります。
受給者証には、サービスを利用できる期間や支援の種類など基本情報が記載されており、利用者側と提供者側の双方がサービス内容を把握するために役立ちます。定期的に更新が必要なケースもあるため、期限切れに注意し、継続して利用を希望する場合は早めの手続きが欠かせません。
申請方法
障がい者福祉サービス受給者証を取得するためには、市区町村の障がい福祉担当窓口で所定の手続きを行います。手続きの流れは、以下のようなイメージです。
必要書類を確認(医師の診断書や意見書、本人確認書類など)
市区町村の担当窓口で申請書を提出
診断書や生活状況を踏まえた審査・判定
受給者証の交付
提出する書類は障がいの種類や症状によって異なる場合があるため、事前に担当窓口へ問いあわせるとスムーズです。審査には一定の期間を要することが多く、結果によっては追加の書類提出を求められることもあります。
就労継続支援B型事業所で働くまでのステップ
B型事業所を利用して働くためには、自分の障がい特性や体調に合った支援を受けられるよう情報収集を行い、自治体の窓口や相談機関に相談することが肝要です。具体的な流れは、以下のケースが一般的です。
相談・情報収集
受給者証の取得
事業所の見学・体験
契約・利用開始
作業スタート・継続サポート
上記のステップを踏むことで、安心して就労継続支援B型を利用しながら働く準備が整います。自分に合った事業所を見つけるためにも、疑問点を解決しておくことが大切です。
利用する就労継続支援B型事業所を選ぶポイント
就労継続支援B型事業所を選ぶときは、自分の障がい特性や生活リズムに合う環境かどうかを見極めることが大切です。ここでは、選ぶ際に注目したい以下3つについてまとめます。
ポイント①仕事内容をチェックする
ポイント②利用時の手間を確認する
ポイント③給料がどの程度なのかを確かめる
それぞれ見ていきましょう。
ポイント①仕事内容をチェックする
就労継続支援B型の仕事内容は、事業所ごとに大きく異なります。たとえば、封入作業やシール貼りといった軽作業から、農作業やパン・菓子作りのように商品を直接販売する仕事まで、多岐にわたるのが特徴です。自分の得意分野や苦手分野を踏まえて、どのような作業なら長く続けられるかを考えるとよいでしょう。
また、体力的な負担や作業時間の長さも重要なポイントです。見学の際にはスタッフの説明だけでなく、実際の作業工程や作業場の雰囲気を確認するとイメージがつかみやすくなります。
ポイント②利用時の手間を確認する
B型事業所を利用する際には、通所にかかる時間や交通手段、送迎サービスの有無など、日々通うための負担の大きさを考慮する必要があります。通いやすさは継続利用に直結するため、事業所が自宅や駅から離れている場合はバスや車椅子対応などの交通手段を事前に調べましょう。あわせて、通所日に必要な準備品(作業着・昼食・飲み物など)の確認も大切です。
事業所によっては昼食の提供や送迎サポートを行っている場合もあります。しかし、その分自己負担費用が増えることもあるので注意が必要です。
ポイント③給料がどの程度なのかを確かめる
就労継続支援B型の給料(工賃)は、事業所ごとに大きな差があります。一般企業の給与とは違い、事業所が得られる収益をもとに工賃が支払われる仕組みのため、売上が安定しているかどうかがポイントです。
見学時には、過去数年の実績や工賃アップに向けた取り組みなどの説明を受けると、将来的な見通しを立てやすくなります。とはいえ、B型の利用は就労訓練やステップアップの意味合いも大きいです。給料だけを基準に選ぶのではなく、自分の体調や生活スタイルに合った無理のない環境を優先することが大切です。
B型以外の就労支援の種類
就労継続支援B型と同じように、障がいや体調などの事情にあわせて働ける支援サービスはほかにも存在します。以下に、B型以外の代表的な支援サービスをまとめました。
支援サービス |
特徴 |
就労継続支援A型 |
・雇用契約を結んで働くスタイルで、最低賃金が保障される ・ある程度の勤務時間や業務スキルが求められるが、スタッフのサポートを受けながら働ける |
就労移行支援 |
・一般企業への就職を目指す人向けのサービス ・職業訓練や就職支援を中心に、企業見学や実習の機会を提供している ・利用期間は最長2年 |
自立訓練(生活訓練・機能訓練) |
・日常生活に必要な能力や身体機能を向上させることを目的とした訓練 ・将来的にA型・B型へ移行する準備段階として活用するケースも |
いずれのサービスも、事業所によって支援内容や雰囲気が変わるため、より自分に合った環境を見つけることが重要です。
まとめ
就労継続支援B型事業所は、障がいや難病のある方が自分のペースで働きながら社会参加できる大切な場所です。利用条件や手続き方法、費用などを正しく理解することで、より自分に合ったサービスを受けられます。
株式会社SANPOでは、愛知県西尾市の就労継続支援B型事業所SANPOを運営しており、一人ひとりに寄り添ったサポートを提供。親会社と連携した「選べる仕事」を特徴とし、ご利用者の能力や希望にあわせた就労支援を行っています。見学や利用に関するご質問は、お問い合わせから受け付けていますので、お気軽にご相談ください。
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