就労継続支援B型の仕事内容とは?事業所の選び方も解説
就労継続支援B型は、障がいのある方が自分のペースで働きながらスキルを身につけ、社会参加を目指すための支援を行う事業所です。全国に多くの事業所があり、それぞれ異なる仕事内容やサポート体制が提供されています。
この記事では、就労継続支援B型の8つの仕事内容や、事業所を選ぶ際にチェックすべきポイントを解説します。
さらに1日のスケジュールや平均工賃、メリット・デメリットもお伝えするので、就労継続支援B型の利用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
就労継続支援B型の働き方
就労継続支援B型は、利用者が自分に合った働き方を選べることが特徴です。ここではおもな3つの働き方を紹介します。
事業所内で働く
施設外で働く
それぞれ見ていきましょう。
事業所内で働く
利用者は事業所の施設内で、食品の製造や販売、農作業、清掃作業などを行います。初めて働く方や安定した環境で働きたい方、サポートが必要な方におすすめです。
以下にメリットとデメリットをまとめました。
メリット |
デメリット |
・スタッフのサポートを常に受けられる |
・外部の仕事に比べて社会経験が限定的 |
・安心して作業に取り組める ・ほかの利用者と交流できる |
・作業内容が固定されることが多い |
安心してサポートを受けられる一方、社会経験のレベルアップには時間がかかるため注意を要します。
施設外で働く
利用者は、事業所の外部にある企業や施設で作業を行います。たとえば、企業の清掃作業や農地での農作業、工場での軽作業などがあげられます。社会経験を早く積みたい方や自立心を高めたい方、外での作業が好きな方におすすめです。
以下にメリットとデメリットをまとめました。
メリット |
デメリット |
・実践的な環境で社会経験が積める ・自立心を高められる ・さまざまな作業内容から自分に合ったものを選べる |
・サポートが事業所内に比べて少ない ・通勤が必要 |
施設外では周囲のサポートが弱い分、トラブル対応には不安が残ります。ある程度、独り立ちしている方に向いています。
就労継続支援B型のおもな仕事内容
就労継続支援B型では、さまざまな仕事内容が提供されており、利用者が自分に合った仕事を見つけやすい環境が整っています。ここでは、代表的な仕事内容を紹介します。
農作業
清掃作業
製造業
組み立て・梱包作業
ぜひ、自分が希望する仕事を見つけるヒントにしてください。
農作業
農地で野菜や果物を育てる仕事です。利用者は種まき、苗の植え付け、収穫、出荷準備などを行います。自分が育てた野菜が成長し、収穫できたときの達成感は格別です。体力の向上やストレス解消にもつながりますが、天候や季節によって作業内容が変わるため、一定の柔軟性が求められます。
このような方におすすめ
自然の中で体を動かすことが好き
土いじりが得意
将来農業関係の仕事に就きたい
清掃作業
事業所内や施設外の企業で清掃業務を行う仕事です。床掃除や窓拭き、ゴミの収集などがおもな業務です。清掃後にきれいになった施設を見ると達成感を味わえ、従業員からも感謝されます。体を動かしながら働きたい方や、きれい好きな方におすすめです。ただし、特定の清掃箇所が決まっているため、単調な作業になりやすいところが難点です。
このような方におすすめ
体を動かしながら働きたい
清掃業務のスキルを磨きたい
製造業
工場や事業所内で製品を作る仕事です。利用者は、部品の組み立てや加工、検品などを担当します。完成品が生産ラインを流れてくるのを見ると、もの作りへの意欲が沸きます。将来工場で働くためのスキルも磨けますが、作業が細かく集中力が必要なため、長時間続けるのは大変な面もあります。
このような方におすすめ
機械操作が得意
細かい作業が好き
将来工場で働きたい
組み立て・梱包作業
製品や部品を組み立てたり、梱包したりする仕事です。利用者は、指示に従って正確に作業を進めます。仕事の過程で指示を正確に理解し実行する能力や、時間管理のスキルも向上します。ただし、梱包作業は同じ動作を繰り返すことが多いため、単調に感じることもあるでしょう。
このような方におすすめ
手先が器用
細かい作業が得意
効率よく作業を進める能力を身につけたい
将来物流や製造関連の仕事に就きたい
就労継続支援B型の事業所の選び方
ここでは、利用者が自分に最適な事業所を選ぶための5つのポイントを紹介します。
作業内容が自分に合っているか
◦事業所で提供されている仕事内容を詳しく調べ、自分の得意な作業や興味のある分野と照らし合わせる見学や体験利用により、実際に作業を体験し、ミスマッチを防ぐ
事業所のサポート体制は整っているか
◦スタッフの数や支援の質、個別支援計画の有無などを確認する
◦事業所がスキルアップを重視しているのか、継続的な就労をサポートしているのか、自分のニーズにマッチしているかを見極める
事業所のスタッフとほかの利用者との相性はよいか
◦スタッフが親切で丁寧な対応をしているか、利用者一人ひとりに対して適切にサポートしているかを
確かめる
◦利用者同士が仲良く交流しているか、協力して作業を進めているかをチェックする
働き方と工賃に納得できるか
◦家事や育児、ほかの活動とのバランスが取れるかどうかなど、自分のライフスタイルや経済状況と合
っていること
◦工賃の金額が生活費の一部として十分なのか、ほかの収入源と合わせて生活が成り立つのかを考える
◦体調に合わせて勤務時間を調整できたり、リモートワークに対応していたりなど、自分の状況に応じた働き方を提供している
働き方と工賃に納得できるか
◦家事や育児、ほかの活動とのバランスが取れるかどうかなど、自分のライフスタイルや経済状況と合
っていること
◦工賃の金額が生活費の一部として十分なのか、ほかの収入源と合わせて生活が成り立つのかを考える
◦体調に合わせて勤務時間を調整できたり、リモートワークに対応していたりなど、自分の状況に応じた働き方を提供している
通所しやすいか
◦無理なく通える
◦近くに公共交通機関があったり、事業所が送迎サービスを提供していたりする
それぞれのポイントを押さえて、自分にふさわしい事業所を選びましょう。
就労継続支援B型のメリット・デメリット
就労継続支援B型のサービス利用のよい点と悪い点を把握することで、自分にとって最適な選択ができます。
メリット
デメリット
それぞれ見ていきましょう。
メリット
利用者が自分の体調や体力に合わせて働ける点が最大の魅力です。たとえば、1日1時間や週1日だけ利用可能な事業所もあり、短時間でも生産活動に携わりたい方や社会参加を望む方に向いています。
また、以前に一般企業で働いた経験があり、現在は働いていない方でも利用価値があります。なぜなら、将来的に再び一般企業での就労や就労継続支援A型事業所での雇用型勤務を希望する場合、事前訓練として利用できるからです。
期間や年齢に制限なく働けることも利点で、幅広い年齢層が自分のペースで参加できます。
なお、各事業所では利用者一人ひとりに対して個別支援計画が作成され、細やかなサポートが提供されるため、安心してスキルアップを図れます。これにより、社会経験や自信を積み重ねられ、自立につながるでしょう。
デメリット
最大のデメリットは工賃の安さです。しかし、体調や能力の向上により、利用時間を増やしたり作業効率を上げたりすることで、工賃を上げてもらえる可能性があります。工賃は事業所や作業内容によって異なるため、報酬にこだわる場合は、総合的に比較し判断しましょう。
工賃をおもな目的とせず、自立した生活を送るためのトレーニングの場として捉えると、利用価値が高まります。
また、ほかの利用者との協力が必要な場面も多いため、コミュニケーションが苦手な方にはハードルが高く感じられます。一度不安やストレスを感じたら、ほかの作業に集中できなくなってしまうこともあり、結果としてモチベーションを維持しづらくなるところも懸念点です。
就労継続支援B型の1日のスケジュール
事業所によって1日のスケジュールに多少の違いはありますが、一般的な大まかな流れは以下のとおりです。
時間 |
内容 |
詳細 |
9:00 |
朝礼、作業準備 |
・当日の作業内容や注意事項が共有される ・利用者は必要な道具を揃えたり、準備運動を行ったりする |
10:00 |
作業開始 |
・午前中の作業開始 ・利用者のペースに合わせて進める |
12:00 |
昼休憩 |
・通常、1時間程度の休憩が設けられる ・利用者は食事をしたり、体を休めたりして過ごす |
13:00 |
作業再開 |
・午後の作業再開 ・再び各自が決められた作業を行う ・作業内容は午前中と同じ場合もあれば、異なる場合もある |
15:00 |
片付けと清掃 |
・作業スペースをきれいにし、使用した道具を片付ける ・次の日の作業がスムーズに進められるよう整える |
15:30 |
終礼、帰宅 |
・事業所で終礼が行われることが多い ・1日の振り返りや翌日の予定が共有される ・自宅が近い場合は、作業所から直帰することも可能 |
自分のペースに合った事業所を選び、無理のないスケジュールで働くことが大切です。
就労継続支援B型の平均工賃
利用者は雇用契約を結ばないため、賃金ではなく「工賃」という対価が支払われます。最低賃金を保障する義務がないため、最低賃金以下の報酬が支払われることが一般的です。
厚生労働省によると、令和5年度における全国平均工賃は月額23,053円です。最低賃金を大きく下回るものの、各自治体では工賃を上げるための取り組みが進められており、工賃は徐々に上昇傾向にあります。
しかし、事業所ごとに工賃の格差は大きいため、支援内容や作業内容も考慮して事業所を選ぶことが重要です。
参考:厚生労働省「平均工賃(賃金)月額の実績について」
自分に合った事業所を選び、納得できる就労継続支援B型の仕事を見つけましょう
自分に合った事業所を選ぶことで、安心してスキルアップを図れます。自分の興味や得意な分野を活かせる仕事を見つけられると、無理なく続けることが可能です。事業所のサポート体制や雰囲気、スタッフやほかの利用者との相性も見逃せません。
また、働き方や工賃も自分のライフスタイルや経済状況に合ったものを選ぶことが大切です。通所のしやすさも考慮し、自宅からアクセスのよい事業所を選ぶとよいでしょう。
なお、株式会社SANPOでは製造業を主軸に農業、パン屋、IT関連などさまざまな仕事に挑戦できる環境を提供しています。利用者のニーズに合わせて幅広く選択肢を用意しており、個別のサポートが充実していることが強みです。事業所を探している方は、ぜひ株式会社SANPOのサービスをご検討ください。
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