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就労継続支援B型はどんな人が利用できる?利用条件や対象者を解説

就労継続支援B型は、雇用契約に縛られず自分のペースで働く練習ができる福祉サービスです。
体調の波や対人不安があっても作業量や通所頻度を調整でき、社会参加と自立の土台づくりに役立ちます。  
 
本記事では、B型の仕組みと対象者、A型・就労移行支援との違い、主な仕事内容や作業時間、工賃、利用料と期間、事業所選びのポイント、申請から契約までの手順を分かりやすく整理して解説します。
ぜひ参考にしてください。 

就労継続支援B型とは何か?

就労継続支援B型は、雇用契約に縛られず自分のペースで作業に取り組める福祉サービスです。  
体調に波がある人や復職前のリハビリ段階でも参加しやすく、社会参加と自立の基礎づくりを目指した制度で利用者の社会復帰や自信回復の第一歩として、重要な役割を担っています。
 
以下で基本概要や利用状況を順に解説します。 

就労継続支援B型の基本概要

就労継続支援B型は、障がいや体調の問題などで一般企業への就職が難しい方が、無理なく働き続けられるように支援する福祉サービスです。
最大の特徴は、雇用契約を結ばず(非雇用)に自分のペースで作業できる点にあり、体調に波がある方も利用しやすい仕組みです。
 
事業所ではさまざまな仕事内容が用意されており、利用者の希望や得意分野に合わせて取り組めます。
また、スタッフがサポートや相談に応じてくれるため、安心して作業に集中できる環境が整っています。 
 
一般就労が難しい方でも社会とつながりを作りながら自分らしく働くことを目指せるサービスといえます。

関連記事:就労継続支援B型とは?制度の概要・メリット、事業所の選び方まで徹底解説

利用者数と事業所数の現状

就労継続支援B型の事業所数と利用者は年々増加傾向にあり、2023年時点で事業所数は約16,000か所、利用者数はおよそ40万人に上ります。  
出展:令和5年社会福祉施設等調査の概況  
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/fukushi/23/dl/kekka-kihonhyou01.pdf  
 
これは障がいや体調の不調で一般企業で働くことが難しい方が「自分に合ったペースで働きたい」と考えるケースが増えていることが背景にあります。
事業所の数が多いため、都市部だけでなく地方でも利用しやすい環境が整いつつあります。 

就労継続支援B型にはどんな人が参加しているのか?

就労継続支援B型には、一般企業での就労が難しい方や障がいや体調面に配慮が必要な方が多く利用しています。  
障がいの種類や程度、年齢に関わらず、働く意欲がありながらもフルタイムや高い生産性が求められる職場では働きづらい方にとって、無理なく自分のペースで就労経験を積める場として重要な役割を果たしています。
 
年齢や障がい種別は多様で、長期離職や引きこもりからの社会復帰、就活への不安解消など目的も幅広いです。  
どんな人が参加しているかより詳細に解説します。 

利用者の障がい種別と特徴

就労継続支援B型を利用する主な対象は、精神障がい、知的障がい、発達障がい、身体障がいなどさまざまな障がいを持つ方が主な対象です。 
体調の波や対人不安があっても、作業量や頻度を調整できるため参加しやすい設計です。 
 
また、障がいの程度は軽度から重度まで幅広く、年齢層も10代から高齢の方まで多様です。 
 
若年層から高齢まで幅広く、生活リズムの安定や社会的つながりの回復を段階的に支援しています。
「自分らしい働き方」を模索する人に適した環境が整っています。 

対象となる人の具体例

就労継続支援B型を利用できる具体的な例として、長期離職後に自信回復を図りたい人、体調管理を優先しながら週数日だけ通いたい人、対人面に不安がある人などが挙げられます。
 
障がい者手帳がない場合でも、医師の診断や自治体の判断で利用できることがあります。 
短時間・低負荷から始め、継続を通じてステップアップを目指せます。 
 
自身が利用できるかは、各自治体の福祉相談窓口へ相談するとよいでしょう。 

就労継続支援B型を利用するメリット・デメリット

就労継続支援B型の利用者は年々増加傾向にありますが、支援や訓練を受ける利用者にとってはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。  
 
ここからは、就労継続支援B型を利用するメリット・デメリットを解説していきます。 

就労継続支援B型を利用するメリット

就労継続支援B型の最大のメリットは、体調や生活リズムに合わせて働くペースを調整できる点です。
雇用契約がなく短時間や週数日の通所も可能で、無理のない社会参加を実現します。 
 
作業を通じて自信を取り戻し、生活リズムを整えながら将来の就労や自立を目指せます。 
スタッフの支援で人との関わりや働く習慣を少しずつ築ける環境が整っています。 

就労継続支援B型を利用するデメリット

事業所によっても異なりますが、就労継続支援B型は工賃が比較的低く、収入面では限界がある場合があるという点です。
雇用契約がないため福利厚生は適用されず、実務の幅も事業所ごとに差があります。
 
収入という面だけを考えると将来の就職や就労継続支援A型移行を見据え、訓練内容と目標を定期的に見直すことが必要になってきます。 

就労継続支援B型・A型・移行支援の違い

就労継続支援B型とA型、そして就労移行支援は、障がいや難病のある方が自分らしく働くために用意された制度ですが、それぞれ対象者や目的、支援内容が大きく異なります。
 
自分に合ったサービスを選ぶためには、これらの違いをしっかり理解しておくことが非常に重要です。  
なぜなら、利用条件や求められる能力、将来の進路が異なり、誤った選択をすると無理を感じたり、思うようなステップアップが難しなったりする場合があります。 
 
各制度の違いを以下で詳しく解説していきます。 

A型とB型の違いを理解する

A型とB型の違いを理解するためには、雇用契約の有無と働き方の柔軟さに注目することが大切です。
A型は事業所と雇用契約を結び、最低賃金が保証されるため、一般的なアルバイトやパートに近い働き方となります。
一方、B型は雇用契約を結ばず、作業に応じた工賃が支払われる仕組みです。
 
A型はある程度の就労能力が必要ですが、B型は体調が安定しない方や、まずは短時間から働きたい方に向いている傾向にあります。 
つまり、A型は「安定して働ける人」、B型は「柔軟な支援を求める人」に最適です。
両者の違いを知ることで、自分に合った選択がしやすくなります。 

就労移行支援との比較

就労移行支援は「一般企業で働きたい」と考えている方が対象で、最長2年間の訓練や就職活動の支援を受けられます。
一方、就労継続支援B型は一般企業での就労がすぐには難しい方や、体調に波がある方などが、無理なく自分のペースで働き続けられる場所です。 
 
移行支援は就職を目指す訓練の場、B型は長期的な居場所としての役割が強い点が大きな違いです。
このように、目標や体調、希望する働き方によって選ぶべきサービスが変わることを覚えておきましょう。 

就労継続支援B型の仕事内容とは?

就労継続支援B型の仕事内容は、利用者の障がい特性や体調に配慮しながら無理なく働ける内容が中心です。
一般企業での就労が難しい方でも、自分のペースで作業に取り組めることが大きな魅力となっています。
 
ここからは代表的な作業内容や作業時間・日数の目安について解説します。

関連記事:就労継続支援B型の仕事内容とは?事業所の選び方も解説

代表的な作業内容の紹介

就労継続支援B型で多いのは、箱折りや封入、シール貼り、袋詰め、チラシ仕分けなどのシンプルな軽作業です。 
パン・菓子製造、農作業、清掃、PC入力なども用意されている場合があります。
指導員のサポートがあるため初めてでも安心して作業ができる環境が整備されています。
 
なお作業内容は各事業所によって異なるため、見学や相談の際に具体的な作業内容について確認するとよいでしょう。 

作業時間や日数の目安

就労継続支援B型の作業時間や日数は、利用者の体調や生活リズムに合わせて柔軟に設定できる点が大きな特徴です。
1日に2時間から4時間程度の作業を週に2日から5日ほど行う方が多い傾向にあります。
「毎日通うのは難しいかもしれない…」と不安に感じる方もいるかもしれませんが、無理なく自分のペースで利用できるため安心です。
 
また、事業所によっては午前・午後のみの短時間利用や、曜日を選んで通うことも認められている場合があります。 
自分の体調や希望に合わせて作業時間や日数を調整できることが、B型事業所の大きな魅力といえるでしょう。 

就労継続支援B型の給料(工賃)について

就労継続支援B型を利用する際、多くの方が気になるのが「給料(工賃)」です。
B型事業所では、一般的な雇用契約による給与ではなく、作業に応じた工賃が支払われる仕組みとなっています。
 
工賃は事業所ごとに異なり、全国平均では月額1万6,000円前後が目安とされていますが、地域や作業内容、量によって大きな幅があります。
工賃は生活の全てを賄うものではありませんが、社会参加や自立の一歩として重要な役割を果たしています。 

関連記事:就労継続支援B型の工賃とは?平均工賃額や工賃が高い事業所を解説

就労継続支援B型の利用料と利用期間

就労継続支援B型を利用する際には、利用料や利用期間が気になる方は多いのではないでしょうか。 
ここからは、詳細な利用料と利用期間の制限について解説します。 

利用料の詳細

B型事業所の利用料は、原則として1割負担で低額での利用ができる制度が整えられています。
ほとんどの利用者は所得に応じた減免措置が適用され、生活保護世帯や低所得世帯に該当する場合は0円で利用できる可能性もあります。
 
経済的負担を最小限に抑えながら、無理なくサービスを受けられる点が大きな魅力です。 

関連記事:就労継続支援B型事業所の利用料は?ほかに必要な費用は?

利用期間の制限について

就労継続支援B型の利用期間には、原則として明確な上限が設けられていません。
そのため、体調や生活状況に合わせて、長期間にわたり自分のペースで利用し続けることが可能です。
 
ただし、利用者の状況や事業所の方針、行政の指導によっては、定期的な利用計画の見直しや、就労移行支援など他のサービスへの移行を勧められる場合もあります。
制度上は無期限ですが、就労に向けたステップアップを目指す方には、定期的な目標設定や振り返りが重要です。 

就労継続支援B型を利用した後の進路

就労継続支援B型を利用した後の進路には、個々の希望や状況に応じてさまざまな選択肢があります。
 
多くの方がB型事業所での経験を通じて自信や生活リズムを身につけ、次のステップに進むことを目指しています。
進路としては、一般就労へのチャレンジ、A型事業所への移行、地域活動への参加、またはB型事業所での継続利用などが挙げられます。
 
B型での経験が社会参加の第一歩となり、自分に合った働き方や生活スタイルを見つけるきっかけになるでしょう。 

就労継続支援B型の選び方のポイント

就労継続支援B型の事業所を選ぶ際は、自分に合った環境や働き方を見極めることが大切です。
無理なく長く続けられる場所を選ぶことで、日々のストレスを減らし、安定した生活を目指せます。
作業内容、勤務時間、支援体制、雰囲気、アクセスを複合的に比較しましょう。  

見学・体験で実際の現場を確認し、次の項目で確認点を具体的に解説します。 

仕事内容や勤務時間の確認

就労継続支援B型の仕事は軽作業や内職、農作業、清掃、パソコン作業など幅広く、事業所ごとに内容が大きく異なります。
 
また勤務時間については、事業所によっては体調や障がいの状態に合わせて働く時間や日数を柔軟に調整できる場合もあります。
例えば、週に2日・1日3時間から始められる事業所もあれば、もう少し長い時間を求められるところも存在します。
 
無理なく続けられる環境かどうかを見極めるためにも、仕事内容や勤務時間は必ず事前に問い合わせたり、見学や体験で実際の現場を確認したりすることが欠かせません。 

事業所の雰囲気をチェック

安心して通える環境かどうかが、長く続けるうえで大きなポイントになるため事業所の雰囲気は確認しましょう。
 
なかには「スタッフや他の利用者と上手くやっていけるか不安…」と感じる方もいるのではないでしょうか。
事業所によって雰囲気やルール、支援の仕方が異なるため、実際に見学し、職員の対応や利用者の様子を確かめることをおすすめします。
また、質問しやすい雰囲気かどうかも重要です。
 
自分に合った居心地の良い場所を選ぶことで、無理なく通所を続けやすくなります。 

アクセスの利便性を考慮

通う場所だからこそ、通所負担の少なさは重要です。  
自宅からの距離や最寄り駅・バス停からの導線、雨天時の移動しやすさ、バリアフリー状況を確認しましょう。 
送迎や交通費助成の有無も要チェックです。
 
アクセスの良さを重視することで、無理なく安心して就労支援を受けられる環境を整えることができます。 

就労継続支援B型を利用するための手順

就労継続支援B型を利用するには、いくつかの具体的な手順を踏む必要があります。 
具体的な利用までの流れは、事業所探しと見学・体験、自治体への申請、受給者証の発行、利用契約の順です。 
流れのなかには種類が必要な場合もあるため、正しい流れを知っておくことで、安心してスムーズにサービスを利用できるようになります。 

関連記事:就労継続支援B型の利用までの流れを解説!申し込みから利用開始までの手順

事業所の探し方

就労継続支援B型の事業所を探すには、まず自分が通いやすい地域で情報収集することが大切です。 
市区町村の障がい福祉課やハローワーク、福祉サービスの相談窓口などで事業所の一覧やパンフレットをもらうことができます。
自宅でもできる方法としてインターネットで「就労継続支援B型 〇〇市」と検索すると、各事業所のホームページや口コミも参考にできます。
 
また、相談支援専門員や医療機関のソーシャルワーカーに相談すると、自分に合った事業所を紹介してもらえる場合もあります。
 
まずは複数の情報源を活用し、候補をいくつかピックアップしておきましょう。 

見学・体験の重要性

見学では作業の流れ、利用者の雰囲気、職員の関わり方を具体的にチェックします。
体験を通して、実際に作業を行い、無理なく続けられるか、どんな人が利用しているかなど、具体的なイメージが持てるでしょう。
 
特に初めて利用を考える方は、職場の雰囲気やスタッフのサポート体制が自分に合っているかを体感することが大切です。 
見学・体験を通じて、疑問点や不安を事前に解消できるため、納得して事業所を選ぶことができます。 

自治体への申請手続き

まず、市区町村の福祉窓口や障がい福祉課に相談し、利用したい意思を伝えましょう。
必要書類としては、障がい者手帳や医師の診断書、本人確認書類などが求められることが多いです。 
「手続きが難しそう…」と感じる方もいるかもしれませんが、職員が丁寧に案内してくれるため心配はいりません。
 
申請後は、自治体による面談や聞き取り調査が行われ、利用の必要性や適性が確認されます。 
その後「障がい福祉サービス受給者証」が発行されると、正式にサービスの利用が可能となります。
 
申請から利用開始までには数週間かかることもあるため、早めの行動が大切です。 

利用契約の締結

利用を希望する事業所が決まったら、面談や説明を受けたうえで、契約内容や利用規約について詳しく説明されます。 
必要な主な書類は本人確認書類や受給者証、印鑑などです。
 
契約書には、利用する曜日や時間、仕事内容、工賃の支払い方法などが明記されており、納得できるまでしっかり確認しましょう。 
疑問点は遠慮せず質問し、不明な点を残さないことが大切です。
契約後は、事業所と利用者双方のサインや押印をもって正式な利用開始となります。 

就労継続支援b型の利用条件と選び方の要点

就労継続支援B型は、非雇用型で作業量や通所頻度を柔軟に調整しながら社会参加を進められる支援です。 
似ている支援としてはA型や就労移行支援が挙げられますが、違いを頭に入れて整理しやすいです。 
対象は精神・知的・発達・身体など幅広く、障がい者手帳がなくても診断書等で利用できる場合があります。
 
今回紹介した、就労継続支援B型の選び方のポイントや利用するための手順をチェックリストとして確認し、自身の目標と体調に合う事業所を選びましょう。
 
株式会社SANPOでは、愛知県西尾市の就労継続支援B型事業所SANPOを運営しています。
就労継続支援B型は、一般就労が難しい方や自分のペースで働きたい方など、さまざまな方が利用できる支援です。 
一人ひとりの特性や希望に合わせた作業内容を用意し、安心して働ける環境を整えています。
ご相談はお気軽にお問い合わせください。 

監修者

小林 啓輔 

株式会社SANPO 顧問

<資格> 
・サービス管理責任者研修修了 
・社会福祉主事 
 
<略歴> 
福祉系大学卒業後、在宅介護支援センター(現包括支援センター)等の相談員業務に従事し、特別養護老人ホームの指定申請や人事関係に関与。その後有料老人ホームの施設長など高齢者福祉に携わり、その後サービス管理責任者として就労継続支援事業所やグループホームに従事。 
 
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