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就労継続支援B型事業所では仕事がないって本当? 

就労継続支援B型事業所に通っていても、「仕事がない」「作業が少ない」と不安を感じている方もいるかもしれません。実際、事業所によっては受注量や仕事内容が十分でないため、利用者がやりがいを見出せずに困っているケースもあります。
 
本記事では、就労継続支援B型の基本や仕事の種類、なぜ「仕事がない」といわれるのか、その対処法を解説します。今後の働き方を考えるうえで参考になる情報をお届けしますので、ぜひ最後までご覧ください。 

就労継続支援B型とは? 

障がいや病気などで一般企業の雇用契約を結ぶことが難しい方に、生産活動を通じた働く場とサポートを提供する障がい福祉サービスです。事業所では利用者一人ひとりの体力や特性に合わせた作業を用意し、工賃という形で対価を得られる仕組みを取り入れています。作業内容は農作業や軽作業などが中心ですが、日常生活をサポートする取り組みも行われることがあります。  

また、契約を結ばないため、体調やペースに合わせて無理なく働きやすい点が特徴です。一方、工賃の額は事業所ごとに差があるため、利用前に情報を集めておくことが大切です。  

対象となる方 

障がいや難病などの影響で、一般企業への就職が難しい方です。具体的には、年齢や体力の問題で企業勤務を続けるのが厳しくなった方、50歳以上の方、または障がい基礎年金1級を受給している方などです。さらに、就労移行支援の利用歴や専門家のアセスメントによって、B型を利用するほうが適切と判断された場合も対象となります。  

特別支援学校の在校生が卒業後にB型を利用する場合、在学中から支援機関でアセスメントを受ける必要があります。なお、2025年10月から運用が開始される「就労選択支援」によって、より詳細な就労アセスメントを経たうえでB型の利用が決定される仕組みが整備される予定です。

就労継続支援A型との違い 

就労継続支援A型は、利用者と事業所が雇用契約を結ぶ点でB型と異なります。A型は最低賃金以上の給与が支払われるため、ある程度の就労能力が求められます。  

対して、B型は雇用契約を結ばず、作業の対価として工賃を受け取る仕組みです。そのため、利用者は自分の体調やペースに合わせて無理なく働きやすいメリットがあります。また、A型の場合は業務内容や勤務時間が企業と同じように管理される一方、B型では比較的柔軟に作業時間が調整されることが多いです。 

就労継続支援B型事業所ではどのような仕事をするの? 

B型事業所では、生産活動と日常生活の支援を通じて、利用者の自立や就労準備を支えます。作業は軽作業や農作業など多彩で、無理なく取り組めるよう配慮されているのが特徴です。  

ここでは、以下4つについて紹介します。 

生活支援員の仕事 

職業指導員の仕事 

サービス管理責任者の仕事 

管理者の仕事 

事業所運営を支える重要な業務であり、利用者が安心して働ける環境を作るうえで欠かせません。 

生活支援員の仕事

利用者が日常生活を円滑に送れるよう、幅広いサポートを担う役割です。身だしなみや食事、金銭管理などの支援に加え、健康状態のチェックや相談事への対応も行います。また、利用者の気持ちをくみ取りながら、必要に応じて関係機関と連絡を取り合うことも。  

利用者とのコミュニケーションを密にし、一人ひとりが安心して施設を利用できるよう配慮するのがおもな業務となります。個々の能力や特性に応じた生活スキルの向上を目指すため、動機付けや褒めるタイミングにも気を配り、利用者が自分らしく生活できる環境作りに努めます。 

職業指導員の仕事

利用者が作業を通して技術や知識を身につけられるよう、指導・支援する役割を果たします。たとえば、軽作業や農作業・製品の加工などを行う際に、一人ひとりの特性やペースに合わせた指導を行います。また、利用者が達成感を得られるような目標設定や、作業工程の工夫も欠かせない仕事です。  

職場で求められるコミュニケーションスキルやマナーなど、社会での就労に向けた基礎作りをサポートする場面も多くあります。利用者と信頼関係を築きながら、成長の手応えを感じてもらうことが職業指導員の大きな役目といえます。 

サービス管理責任者の仕事

事業所全体の支援計画を策定し、利用者が適切なサービスを受けられるようコーディネートする役割です。具体的には、利用者一人ひとりの特性や目標を踏まえた個別支援計画の作成・見直し、スタッフとの連携や指導など、幅広い業務を行います。また、利用者や家族、ほかの支援機関との調整役としても機能し、困り事や課題を早期に把握して最適な解決策を提案することが求められます。  

事業所の質を保ちつつ、利用者が安心して利用できる環境を整えるために欠かせない存在です。常に利用者本位の視点を持ち、サービスの効果を検証しながら改善を図ることで、よりよい支援を実現します。 

管理者の仕事

就労継続支援B型事業所の運営を統括し、必要な資源や人材を確保して円滑にサービスを提供する責任を負います。具体的には、予算や経理の管理、スタッフの採用・育成など、経営面における重要な判断を行うのが大きな役割です。また、事業所内で発生する課題の把握や改善策の検討にも深く関わり、利用者をはじめとする関係者との信頼関係を築くために尽力します。  
 
自治体や関係機関との連絡調整をする場面も多く、事業所における多様な利害を調整しながら運営方針を定めることが求められます。こうした活動を通じて、安全で働きやすい環境作りと、地域に根ざしたサービスの実現に貢献する重要なポジションといえるでしょう。 

就労継続支援B型の仕事内容は? 

就労継続支援B型では、利用者は体調や障がいの状況に合わせてスタッフのサポートを受けつつ、事業所内外でさまざまな業務に取り組みます。代表的な仕事内容は、以下のとおりです。 

パンやお菓子の製造・販売(生地作りや販売など)

農作業(種まきや収穫・販売まで)

清掃作業(公共施設や屋内外の清掃)

組み立てや梱包(部品の組み立てや封入作業)

Webサイト作成などIT系(データ入力や簡単な制作業務)

これらを通じて利用者は工賃を得られ、作業スキルや社会性を習得できます。また、職種ごとに必要なサポートが整備されているため、無理なく自分に合った仕事を続けやすい点も特徴です。  

ただし、事業所ごとに仕事内容や工賃が異なるため、見学やホームページで確認することが大切です。 

就労継続支援B型事業所で仕事がないといわれる原因

就労継続支援B型事業所の中には、利用者の人数に対して十分な仕事量を確保できないケースが見受けられます。ここでは以下3つについて、おもな原因をまとめます。

営業力が不足しているから

受注できる仕事に偏りがあるから

利用者に合う仕事を提供できていないから

それぞれ見ていきましょう。

営業力が不足しているから

就労継続支援B型事業所は、企業や行政などから仕事を受注して利用者に作業を提供します。しかし、営業活動が十分に行われていないと新しい取引先を獲得しにくく、結果的に受注件数や案件の種類が少なくなりがちです。とくに、競合する事業所が増えている地域では、企業との関係作りや継続的なコミュニケーションが欠かせません。  

また、パンや菓子製造のような業種でも、販路の拡大に向けたマーケティングや宣伝が不十分だと安定した売上を得にくくなります。こうした営業力の問題を解消するためには、専任スタッフの配置や地域の商工会・自治体との連携など、継続的な取り組みが不可欠です。

受注できる仕事に偏りがあるから

事業所によっては、パン製造や農作業、軽作業など特定の分野に特化しているケースがあります。その分野で安定的に仕事を確保できれば問題ありませんが、市場の変化や季節要因によって受注が激減すると、利用者の作業が一気に減るリスクがあります。また、作業が単調なものに限られてしまう場合、利用者がスキルを生かせずモチベーションを保ちにくいという課題も。  

柔軟性を高めるためには、複数の業務を行う体制を整えたり、新たな取引先を開拓したりする努力が必要です。多様な分野の仕事があれば、安定的な受注と利用者の成長機会を確保しやすくなります。 

利用者に合う仕事を提供できていないから

利用者ごとに特性や得意分野が異なるにもかかわらず、同じ作業を一律に割り当てると効率が下がり、質の高い生産活動につながりにくくなります。結果として事業所自体の評価も低くなり、安定した受注を得ることが難しくなるでしょう。また、利用者が作業にやりがいを感じられず、離職率が上がる原因にもなります。  

こうした問題を防ぐには、サービス管理責任者や職業指導員が一人ひとりの得意分野や体調・スキルを把握し、適切な作業を振り分ける体制作りが不可欠です。利用者と事業所双方にメリットのある働き方を実現できれば、事業全体の安定化につながります。 

就労継続支援B型事業所で仕事がないとどうなるのか

就労継続支援B型事業所で十分な仕事量が確保されないと、利用者も事業所にも大きな影響が及びます。以下3つについて、問題点を整理します。

利用者の就労意欲が下がる

利用者の生活に影響を及ぼす

事業所の経営悪化につながる

仕事不足は利用者と事業所の双方に、深刻なダメージを与えかねません。 

利用者の就労意欲が下がる

利用者が就労継続支援B型事業所を利用する理由の1つは、社会参加やスキルアップを通じて自信を深めることです。しかし、仕事そのものが少ないと作業に取り組む機会が減り、得られる達成感や成長を実感しにくくなります。こうした状況が長引くと、「働きたい」という意欲が徐々に薄れてしまうおそれがあります。  

さらに、周囲の利用者とのコミュニケーションも希薄になり、自分の存在意義を見いだせなくなるケースもあるでしょう。モチベーションの低下は将来的な就労移行にも影響を及ぼし、次のステップに進むためのエネルギーを奪ってしまいます。

利用者の生活に影響を及ぼす

就労継続支援B型では、作業の対価として工賃が支払われます。仕事がない状態が続けば当然工賃が減り、利用者の収入も不安定になります。経済的な問題に加え、「自分が社会に貢献できていない」という心理的負担を抱えることにもなりかねません。  

とくに、B型事業所の利用者は一般就労が難しい状況にあるため、安定した環境で少しずつ就労経験を積むことが重要です。そこで仕事量が不足すると、日々の生活リズムを保ちにくくなり、体調管理にも影響が出る場合があります。 

事業所の経営悪化につながる

事業所が十分な仕事を受注できない状態が長引くと、結果的に収益が減少し、経営そのものが厳しくなります。利用者への工賃の支払いに加え、スタッフの人件費や施設維持費など固定費は一定以上かかるため、受注件数が少ないほど収支のバランスを保ちにくいでしょう。  

経営の不安定化は事業所のサービス質を低下させる要因にもなり、利用者が本来得られるべきサポートが十分提供できなくなるおそれがあります。また、スタッフの離職やスキルダウンなどを招き、さらなる悪循環につながるリスクも大きいです。 

就労継続支援B型事業所で仕事がないときにできること

仕事が限られてしまう場合でも、以下のように視点を変えれば、打開策を見つけやすくなります。

地域の企業と連携する

事業所の特徴を生かせる仕事を開拓する

支援制度を活用する

利用者のスキルアップをサポートする

これらの取り組みを進めることで、仕事不足を改善しながら利用者の成長と事業所の安定化を図ることが可能になります。

地域の企業と連携する

地域の企業や商店会・公共団体との連携は、新たな仕事を生み出すために有効な手段です。たとえば、地元企業の清掃業務や梱包作業などを受注できれば、利用者の作業量を増やせるだけでなく、地元との結びつきも強化できます。  

さらに、企業側にとっても社会貢献の意義が高まるため、ウィンウィンの関係を築きやすいでしょう。また、地域のイベントや祭りなどで販売ブースを出店することで、知名度を上げたり商品をPRしたりするチャンスも広がります。  

こうした取り組みを継続的に行うことで、新規の取引先を開拓し、既存の仕事の幅を広げることが期待できます。最終的に地域全体の理解が深まることで、新たな協力者や支援者とのつながりも生まれやすくなるでしょう。 

事業所の特徴を生かせる仕事を開拓する

事業所によって得意とする分野や設備、スタッフの専門知識などが異なります。たとえば、パンや菓子製造のノウハウがあるなら、地元のイベントや飲食店と連携して新商品を提案するなど、オリジナリティを打ち出すことが可能です。  

反対に、ITスキルに強みを持つスタッフや利用者が多い場合は、データ入力やWeb制作といった分野に注力することで競合との差別化を図れます。自前の農地を活用できるなら、有機野菜の生産や体験型プログラムの開発も考えられるでしょう。こうした事業所の特性を最大限に生かすことで、ほかにはない魅力を発信し、多様な仕事を着実に獲得できます。 

支援制度を活用する

就労継続支援B型の運営や利用には、自治体や国のさまざまな支援制度が活用できます。たとえば、補助金や助成金を利用することで、新たな設備導入やスタッフの教育を充実させることが可能です。また、ハローワークや地域の福祉機関との連携により、紹介先の拡大や利用者の就労継続に向けたサポートを得られる場合もあります。  

さらに、公的機関が主催するセミナーや研修に参加すれば、最新の支援情報や事例を学び、取り入れやすくなるでしょう。こうした支援制度を積極的に調べて活用することで、事業所の活動範囲や利用者の働く機会を広げられ、仕事不足の課題を解決しやすくなります。利用者自身も地域の支援窓口に相談するなど、個人レベルでの情報収集を行うことが大切です。 

利用者のスキルアップをサポートする

就労継続支援B型の利用者が仕事を継続していくうえで、自身のスキルを伸ばす機会を提供することは重要です。たとえば、パソコンの基礎操作や接客マナー、調理技術など、利用者の希望に合わせた研修や講習を定期的に実施することで、作業の幅を広げられます。また、スキルアップによって自信をつけた利用者は、作業効率が向上するだけでなく、新たな業務にも意欲的に取り組むようになります。  

事業所側としても、多様な分野の仕事を受注しやすくなるため、仕事不足のリスクを下げることにつながるでしょう。さらに、利用者が得意分野を生かして活躍できる環境が整えば、長期的なモチベーション維持にも役立ちます。 

就労継続支援B型事業所で働く魅力

就労継続支援B型事業所で働く魅力は、体調や障がいの状態に合わせて自分のペースで作業できる点です。雇用契約を結ばないため、無理なく継続しやすく安心感を得られます。さらに、専門スタッフが常にサポートするので、技術面やメンタル面の不安も軽減しやすいでしょう。  

また、パンや農作物の製造やデータ入力など多様な業務があるため、得意分野を生かせるのも大きな魅力です。こうしたメリットにより、B型事業所は働きながらスキルアップや社会参加を目指す方に適した選択肢です。 

まとめ

障がいのある方が、自分のペースで働ける大切な場所である就労継続支援B型事業所を選ぶ際は、提供される仕事内容や支援体制を確認することが大切です。  

株式会社SANPOは、愛知県西尾市の就労継続支援B型事業所SANPOを運営し、親会社と連携した「選べる仕事」を提供しています。愛知県西尾市に拠点を置き、一人ひとりに寄り添ったサポートで地域の福祉に貢献しています。ご興味がある方は、ぜひ見学や詳細についてお問い合わせください。