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放課後等デイサービスとは?利用条件や支援内容を解説 

障がいのあるお子様に放課後の時間を有意義に過ごしてほしいと考える保護者に注目されているのが「放課後等デイサービス」です。生活支援や学習支援、余暇活動などのサービスが提供されます。  

この記事では、放課後等デイサービスの基本的な概要や利用条件、支援内容、役割などを解説します。  
 
障がいのあるお子様の教育方針にお悩みの保護者の方は、ぜひ参考にしてください。 

放課後等デイサービスとは

ここでは、放課後等デイサービスの4つの基本情報を解説します。 

放課後等デイサービスの概要 

放課後等デイサービスが広まった背景 

放課後等デイサービスの利用対象者 

放課後等デイサービスの利用頻度 

それぞれ見ていきましょう。 

放課後等デイサービスの概要

放課後等デイサービスは、障がいあったり、発達に課題があったりするお子様を対象に、放課後や長期休暇中に生活支援や学習支援を行う福祉サービスです。2012年4月に児童福祉法で制定され、おもに6歳から18歳までの就学児童が利用可能です。  
 
自治体や民間事業者が運営し、児童発達支援管理責任者による個別支援計画に基づいたサポートが、お子様一人ひとりに提供されます。  

学校や家庭以外のコミュニケーションの機会を与えることで、お子様自身でできることを増やし、社会性を育成することが目的です。 
 
参考:厚生労働省「児童福祉法」

放課後等デイサービスが広まった背景

制度がスタートした当初は1ヶ月あたりの利用者数は5万3,590人でした。しかし、2016年には14万442人、そして2021年には27万4,414 人にまで急増しました。  
 
民間事業者が参入したことで、2016年には2,887ヶ所だった事業所が、2021年には1万7,298ヶ所まで増えたことが理由です。そのため、多くの保護者が利用できる環境が整いました。  

しかし、提供される療育内容やプログラムの質には差があり、単なるお預かり状態の事業所も存在することが問題視されています。そのため、厚生労働省はガイドラインを策定し、療育の質の向上に取り組んでいます。  

参考:厚生労働省「児童発達支援・放課後等デイサービスの現状等について」 

放課後等デイサービスの利用対象者

利用対象者はおもに、小学校・中学校・高校に通う障がいのある6歳から18歳までの就学児童です。障害者手帳を持っている場合はもちろん、持っていない場合でも、医師から発行された発達特性の診断書を所持しているお子様が利用可能です。  

以下に、障害者手帳の種類をまとめました。 

身体障害者手帳

療育手帳(知的障がいのある方に発行される手帳) 

精神障害者保健福祉手帳 

また、18歳を過ぎても必要性が認められた場合に限り、満20歳になるまで利用できる特例も存在します。たとえば、高校を留年した場合や、支援の継続が必要と判断された場合に適用されます。 

放課後等デイサービスの利用頻度

市区町村から発行される「通所支援受給者証」に基づき、月に利用できる上限日数が決められています。一般的には1ヵ月あたり1日〜23日間までで、各家庭のニーズやお子様の必要に応じて設定可能です。  

しかし、将来的な自立を見据えサービスの卒業を計画し始める頃には、徐々に利用頻度を減らすことが推奨されています。また、事業所の空き状況や、1日に受け入れられる人数の制限も考慮しなければなりません。  

複数のサービスを併用できるため、各事業所ごとに通所日数を分けて利用するお子様もいます。 

児童発達支援と放課後等デイサービスの違い

放課後等デイサービスと児童発達支援の役割の違いは、児童福祉法でも明確化されています。以下に、違いをまとめました。 

項目 
放課後等デイサービス
児童発達支援 
対象年齢
6歳~18歳の就学時  
※条件によっては20歳まで 
0歳~6歳までの未就学児 
おもな支援内容
・生活スキルを高める  
・社会との関わりを増やす 
・生活の基本的な動作を教える 
・集団生活に慣れる 
支援の視点
地域社会への参加
日常生活の基盤作り

いずれも、障がいのあるお子様の最善の利益を守ることや、保護者を支援する点では共通しています。  

参考:e-GOV「児童福祉法 第六条の二の二」 

放課後等デイサービスのガイドラインで定められていること

放課後等デイサービスは、厚生労働省によって策定されたガイドラインに従い運営されています。ガイドラインでは、サービス提供者は児童福祉法に基づき、お子様の安全と健康を第一に考えた支援を行うことが条件です。  

また、個別支援計画を作成し、定期的な見直しを行うこと、職員の専門性を高めるための研修を実施することが義務付けられています。  

さらに、親御様との連携を強化し、お子様のニーズに応じた柔軟な対応が必要です。  

参考|厚生労働省「放課後等デイサービスガイドライン」 

放課後等デイサービスの3つの役割

放課後等デイサービスには、お子様の成長と福祉を支えるための3つの重要な役割があります。 

お子様の最善の利益の保障 

共生社会の実現に向けた後方支援 

保護者支援 

それぞれ見ていきましょう。 

お子様の最善の利益の保障

お子様一人ひとりに合った生活スキルを向上させるための訓練を行い、健やかな成長を助ける役割があります。たとえば、食事や着替えの練習や、友だちと遊ぶ機会の提供などがあげられます。  

また、学校や家庭とは違う場所での体験も大切です。新しい環境を通じて、お子様はさまざまなスキルや知識を身につけられます。成長を多方面からサポートし、将来的にお子様が自立した性格を送れることを目指しています。 

共生社会の実現に向けた後方支援

障がいのあるお子様が、地域の中でほかのお子様たちと一緒に成長できる環境を作る支援です。すべてのお子様たちが分け隔てなく過ごせる社会を目指しています。  

たとえば、放課後児童クラブや児童館と連携して、専門的なサポートを提供します。これにより、お子様たちが安心して遊んだり、学習したりする場の提供が可能です。  
 
保育園や学校と情報を共有し、お子様一人ひとりに合ったプランを提案することで、地域全体でお子様の成長を支える役割を果たしています。 

保護者支援

就労継続支援B型とA型、就労移行支援は、対象者や目的が異なります。 
 
就労継続支援A型は、支援があれば雇用契約を結んで働ける方が対象です。事業者と雇用契約を結び、最低賃金を保障される点が、就労継続支援B型との違いです。 
 
一方、就労移行支援は、一般就労を目指す方が対象となっています。就職に必要なスキル訓練や就職活動のサポートが中心となり、原則として工賃は発生しません。 
 
就労継続支援B型の利用期間に制限はありません。しかし、就労移行支援は原則2年間という点に違いがあります。

放課後等デイサービスで実施する4つの活動

ここでは、以下の4つの活動がどのようにお子様たちをサポートするのか、具体的に説明します。 

自立支援と日常生活の充実のための活動

創作活動

地域交流の機会の提供

余暇の提供

それぞれ見ていきましょう。 

自立支援と日常生活の充実のための活動

お子様が日常生活で必要なスキルを身につけるための活動です。たとえば、食事や手洗い、歯磨きなどの基本的な生活動作から持ち物の管理やお金の使い方まで、幅広いスキル習得をサポートします。  

お子様は成功体験を重ねることにより、自信を持てます。たとえば、自分で着替えができたときや、うまくお金を使えたときに「できた!」という気持ちを味わえると、自信がつくでしょう。  

自己肯定感が高まると、お子様は新しいことに対してよりいっそう、前向きに挑戦できます。そのため、成長のサイクルが生まれ、お子様はますます自立に向かっていけます。

創作活動

お子様が豊かな感性を育むための機会を提供します。たとえば、工作や絵画、音楽などの活動を通じて表現する喜びを体験し、創造力を養うことが可能です。  
 
また、自然に触れる機会を作ることで、季節の変化や自然の美しさを感じられるようになります。たとえば、春の花の香りや秋の紅葉を見て楽しめると、自然に対する感受性が育まれるでしょう。  

感受性が育つと、お子様は周りの世界に対してより敏感になり、さまざまなことに興味が沸きます。これにより、豊かな心を育てられます。 

地域交流の機会の提供

地域のイベントやボランティア活動に参加することで、ほかの人々と交流する経験が積めます。これにより、お子様が地域社会と関わる機会が増えます。
 
たとえば、地域の夏祭りで出店を手伝ったり、クリスマスに高齢者施設を訪問して歌を披露したりすることもあります。また、清掃活動に参加して、自分たちの住む場所をきれいにする取り組みも大切な経験です。  

さらに、放課後児童クラブや児童館と連携し、コミュニケーションの機会を増やす活動もしています。 

余暇の提供

休日や長期休暇には、外出やイベントを企画し、家庭や学校では経験できない活動を提供します。たとえば、動物園や博物館への訪問、キャンプやスポーツイベントなどがあります。  

これらの余暇活動を通じて、お子様はリラックスすることが可能です。リラックスすると、お子様は自分の気持ちや体調に敏感になり、何が自分を落ち着かせるのか、何が楽しいのかを判断できるようになります。自分の気持ちを理解することで、興味のある活動を選び、楽しむ力が育まれます。 

放課後等デイサービスが支援する5領域

お子様たちの成長を総合的に支援するために、以下の5つの領域にわたるサポートを提供します。 

領域
内容
健康・生活
心身の健康を維持し、生活習慣を整えるための支援
(例)毎日の体温測定や生活リズムの安定化、衣服の着脱練習 
運動・感覚
身体の動きや感覚を鍛えるための活動  
(例)ストレッチやバランスボールを使った運動、感覚遊び
認知・行動
知識や行動パターンの理解を深める支援
(例)日付や時間の認識、ブロック遊びによる空間把握、粘土遊びによる物質の変化の理解 
言語・コミュニケーション
言葉や非言語的手段でのコミュニケーション能力を高める支援
(例)自己紹介や終わりの会での発表、絵カードを使ったコミュニケーション練習 
人間関係・社会性
他者との関わりを学び、社会的なスキルを養うための活動
(例)ごっこ遊びや協同遊び、地域イベントへの参加 

これらの5領域を網羅して支援することで、お子様は多方面でスキルをバランスよく伸ばせます。それぞれの領域が相互に関連しているため、バランスよくサポートすることが重要です。 

放課後等デイサービスを始めるタイミング

始めるタイミングは、お子様の発達段階やニーズによって異なり、年長の春夏や年中の冬から探し始めることが多いです。情報収集や施設の見学、体験レッスンなどに時間がかかるため、早めの準備が大切です。人気のある施設では予約や待機リストが存在するため注意を要します。  

また、お子様の発達に課題を感じたときや、将来に向けて準備を考えたときが、サービスを始めるよいタイミングです。たとえば、以下のパターンがあげられます。 

社会性やコミュニケーションに課題が見られる 

学習に関する困りごとが明らかになった 

感覚処理に課題がある 

身体運動や協調運動の発達に問題がある

一方、中学生や高校生になってから利用を開始するケースもあります。この場合、人間関係が難しくなったり、同級生とのトラブルが発生したりすることで利用を検討する傾向にあります。特定の能力や興味が顕著になる段階で、ぜひ一度相談してみましょう。 

放課後等デイサービスの4つのメリット

お子様にも保護者にも、放課後等デイサービスはよい効果をもたらします。ここでは、おもな4つのメリットを解説します。

お子様のコミュニケーション力が上がる

学習能力が向上する

居場所ができ、社会性が身につく

親御様の負担が軽減される

それぞれ見ていきましょう。 

お子様のコミュニケーション力が上がる

施設はお子様が安心して過ごせる環境のため、自然な形でコミュニケーションの練習ができます。友だちや指導員と一緒に過ごす時間を通じて、会話の仕方や他人との接し方を学べます。  

たとえば、グループでゲームや話し合いの場があると、ほかのお子様たちと意見交換する機会が増えるでしょう。これにより、お子様はコミュニケーション力を高められます。 

学習能力が向上する

多くの施設では学校の宿題だけでなく、個別の学習プログラムも提供されます。これにより、お子様は自分のペースで学習を進められ、自信を持って勉強に取り組むことが可能です。  

たとえば、特定の教科に苦手意識があるお子様に補習を行うことで、理解が深まり学習意欲が向上します。 

居場所ができ、社会性が身につく

ほかのお子様たちと一緒に活動しながら、社会的なスキルやルールを学べるため、施設がお子様にとって第二の居場所となります。  

たとえば、共同でプロジェクトを進める活動を通じて、協力することや役割分担の大切さを学ぶ機会が得られるでしょう。これにより、お子様は社会性を身につけ、集団生活に適応する力を養えます。 

親御様の負担が軽減される

お子様が専門のスタッフに見守られながら過ごす時間が増えることで、保護者は自分の時間を確保できます。 

たとえば、お子様が施設に通っている間、保護者はリフレッシュしたり、家事や仕事に集中したりできるでしょう。これにより、保護者の心に余裕が生まれ、家庭全体の生活の質が向上します。 

放課後等デイサービスを利用するまでの流れ

以下に、放課後等デイサービスを利用するまでの手順をまとめました。 

利用相談
住まいの市区町村の福祉窓口や障害児相談支援事業所に相談し、手続きを確認する 

事業所の見学・体験
見学や体験を通じて、事業所を決定する 

支給申請
市区町村に対して支給申請を行う
※申請には、支給申請書や障害児支援利用計画案、医師の診断書などが必要 

給付決定・通所受給者証の交付
承認されると、通所受給者証が交付される 

事業所との利用契約締結と利用開始 
給者証の受領後、利用したい事業所と利用契約を結ぶ  
※個別支援計画の作成、利用開始日決定を含む 

なお、地域によって手続きが異なる場合があるため、詳細はお住まいの市区町村の相談窓口で確認してください。

お子様とご家族のために、放課後等デイサービス利用を検討しましょう

放課後等デイサービスを利用することで、お子様のコミュニケーション力や学習能力の向上、社会性の育成、保護者の負担軽減の効果が期待できます。また、お子様は新しい環境での体験を通じて、自信を持って生活できる力が身につきます。  

株式会社SANPOでは、個別指導と集団指導の両方を採り入れ、広い施設で一人ひとりに合わせた支援を行うことが可能です。お子様の成長を支え、保護者の負担を軽減するために、ぜひご利用を検討ください。